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岩崎佳子トリオ at Jay-J's Cafe

もう大分昔に、なにかの雑誌のインタヴュー記事で、トランペッターの日野皓正氏が言っていたことが今も記憶に残っています。正確な言葉は忘れましたが、内容はこんな感じ…。
「ジャズの世界じゃ、アイツの19XX年の、どこそこでやったナニナニは最高だった!…という賞賛の仕方をする」…と。いわゆる名演、名盤として人々の心に記憶されるものなのだろうと思います。

去る6月20日に聴きに行った「岩崎佳子トリオ=岩崎佳子(P)、中牟礼貞則(G)、稲葉国光(B)」は、最後にハプニングがあり、とても楽しかったです。
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Myナカムレ爺は1933年生まれで今年75歳。イナバウアー爺は1934生まれの74歳。
何の曲だったかなぁ…、I've Never Been In Love Beforeだったかなぁ…、演奏がリズムを刻むだけっぽくなったとき、カウンターに座っていたお爺ちゃんがスキャットし始めました。鼻歌ではないのです。正真正銘のマボ・スキャット。ただ者ではなさそうです。座ったままの身体の形はベースをかかえています。上半身シャドウ・ベース!きっと昔、ベーシストだったに違いありません。そして、どうもナカムレ爺とイナバウアー爺の古いお友達らしいのです。演奏者も聴衆も微笑んでいました。ナカムレ爺が微笑みながら演奏しているところは初めて見ました。リラックスして、最高に楽しい感じ。カウンターのお爺ちゃんのスキャットも、最高でした!
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微笑んでいます!そして、シャドウ・ベース。スキャットしています。

「いやぁ、俺たちぁさ~、後期高齢者だからさ~…(ここで観客は爆笑!)」
「いやぁ、楽しかったよッ。元気もらったよッ!」と、そのスキャット爺は言いました。本当に楽しそうでした。そして、岩崎佳子さんは「あなた、お若いのに色々なことが出来るのね~。」と褒められていました。

私は思いました。60-70歳代の高齢者が自分の楽器を運び、溌剌としてライブを行っているということは凄いことだ!と。
人間の肉体は、必然的に老化し色々な機能が衰えてゆきます。筋肉だって握力だって動作の機敏さだって、視力も聴力も衰えます。気力も体力も…。だから、高齢プレーヤーに、青年&壮年時代のプレーを期待してはいけないのだと思いました。
「感動の種類」が確実に違う…。
ボーカリストも同じで、声量や声の艶みたいなものは確実に衰えるのかもしれません。それらをどのようにメンテナンスしてきたか、そして努力し続けてきたかが重要なんだと思います。

私は今回、名盤「Conversation」を生んだ中牟礼貞則氏と稲葉国光氏の現在の姿と演奏を体感し、「人生を楽しんでいるなぁ…」と深く思いました。聴く人に様々な感動を与えていると思いました。゛彼らの1975年のDuoアルバム「Conversation」は、誰が何と言おうと最高!″ (Mixi情報によれば、このアルバムの1曲目のAutumn Leavesは、本録りではなく練習隠し録りが採用されたそうですよ。)

本当に、「敬老」以外のなにものでもないような気持ちになりました。楽しかった!
体調のよい時、悪い時、色々あるとは思いますが、できるだけ永く元気に活躍して欲しいと感じました。

そして、その日のライブのヒットは、「Skating In Central Park」。
ライブ後、ナカムレ爺にそのことをお話したら、「そうね~、去年の秋はリクエストに応えられなかったから、当時の様子やセントラルパークのお話をしましたね~。」って、私があの日、Skating In Central Parkをリクエストしたことを覚えていてくださいました。
感激の夜でした…!
by tomtom2006T | 2008-07-09 18:08 | LIVE REPORT | Trackback | Comments(0)

ジャズ・マドンナ<十萌子>の、徒然なるままに・・・。


by tomtom2006T