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ボサノヴァ右往左往

私が仙台にUターンしてから、20年が過ぎました。
その頃、未だ自分が人前で歌うとか、何も想像していませんでした。
ただ、「習いたい」という気持ちがあって、仙台でジャズに関わる人々と知り合い、友達を作り、練習し始め、ジャズのスタンダードナンバーを歌うようになりました。そのうちボサノヴァのリズムで歌うスタンダード曲もレパートリーに加わるようになりました。7-8年間、練習するだけで満足していた日々でした。右も左も分からずとも、楽しい時代でした。

ボサノヴァもちゃんと歌えるようになりたい…と思うようになったのは、ボサノヴァギターを研究&マスターしていたジャズギタリストと知り合ったのが切っ掛けでした。
「ボサノヴァギターって、なんか素敵」…と思ったものでした。
アントニオ・カルロス・ジョビンの曲たちに開眼したのもこの頃です。
たぶん、2004年頃かな…。

ただ、私にできることは、ジョビンの曲に英語の歌詞が存在するものだけでした。歌いたいと思った曲が見つかると、必死で英語の歌詞を探しました。英語以外の、自分が理解できない言語ーポルトガル語で歌うことは想像もできませんでした。たとえ対訳があろうと、言語を知らずに耳コピで口に覚えさせて歌う…ということは「何か本当ではない」と感じていたからです。
けれども、当時は英語で歌うボサノヴァには直ぐに挫折したのでした。
― 二兎を追う者一兎をも得ず ―

(これは余談だけれど…。言語を理解せずに歌われ、最悪だなぁ…と記憶している音源は、今でも酷いと思っています。例えば、ヘレン・メリルの「夢は夜ひらく」。気持ち悪いこと、この上なしでした。商業主義もいいとこです。もちろん反対の極上例もあります。美空ひばりの耳コピと言われる伝説的ジャズアルバムは、神業としか思えません…。)

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仙台でも、ボサノヴァに特化して歌うシンガーがそのうち増えてきて、よく聞かれる定番のセリフも、自分の頭に叩き込まれる結果となりました。
「ボサノヴァは、ポルトガル語で歌わなければ‟サウダージ”は表現できない」...と。

サウダージとは?
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%82%A6%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%B8


ポルトガル語と英語では、当然ながら発音も違えば、アクセントも違います。声の響き方も響かせ方も違うのだし、言葉による譜割も違ってくる訳です。そして、ジャズフィールドの人が演奏するボサノヴァと、ブラジル音楽に特化している人が演奏するボサノヴァのノリは、確実に違うのが分かります。ギター演奏などは、私には説明不可だけれど、爪弾き方が全然違う…。どちらが好きと感じるかは、自分次第なのだけれど…。

こういう迷い(右往左往)は、ずっと続いていました。

そこで、「一度行ってみよう」と、昨春、ブラジル音楽を中心に開催されているオープンマイク(ボーカルセッション)にボーカル友と言ってみました。英語でジョビンの曲を唄ったのは私達だけでした。
ホストをされていたギタリストA氏に、私達の迷いを打ち明けました。彼のアドバイスはこうでした。
「僕たちも、よくブラジルや外国のミュージシャンと演奏したりするけれど、日本人にしかやれないことをやってくれ…と言われる。結局は、自分らしく歌えばいいんですよ。」

「自分らしく歌う」は、簡単そうで難しくもあります。その「自分」がどれほどの技術を体得しているかにも関わってくるのだし…。それでも「自分らしく」という言葉だけを考えれば、「迷いは消える」が如くになったりします。
けれども、時間が経つと、それでも何故か再び右往左往するわけです。
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そこで、ブラジル音楽に特化しているギタリスト・B氏に、同じ迷いを聞いてもらい、リズムの乗り方などをレッスンして頂くことにしたのです。B氏にA氏からのアドバイスを話したところ、
「それはB氏の寛大さと諦めですよ」とバッサリ。
私は、「あぁ…、振り出しに戻ってしまった…」と感じました。
だいぶ悔しい…。 いえ、本当に悔しい…。

どうせ出来ないことに対する寛大さと諦めなの???
B氏はこうもいいました。「そこまで来てるんだったら、こっちに来ちゃいなよ」と。
こっちって、何処だろう…??? それが一回目のレッスンでした。
リズムのこととか、乗り方とか、苦言とか、他にも色々教わることができました。
振り出しには戻ったものの、収穫あり…でした。

二回目のレッスンでは、「カタカナでもいいのだから、歌ってみればいい。そこが‟入口”なのだから。」「ライヴでカタカナの歌詞カードを見てまで歌おうとしていることを嫌う権利はない」…と、発言はズンズン展開しました。
少なくとも読み書きと会話ができる英語でしか歌ったことのない自分にとって、そういうアングルは初めてでした。
「カタカナが入口」ってどういう世界?!
発音記号が読めるくらいじゃなきゃ話せないし、片言でも話せないのだったら、歌うことなんてできるのかしら…?
(言語学習についての私の頭の固さはダイヤモンド級?!)

結論は結局、ポルトガル語で歌いなさい・・・ということだったのです。
やっぱり悔しい。心底悔しい…。

英語で歌っている限り、ボサノヴァはボサノヴァではない…と言われているような気分になりました。これは、以前よりも、「どん底」な気分でした。

この話を友達にすると、「あら、ボサノヴァって言ったら、やっぱりポルトガル語じゃないかしら…」とサラリ。
…実に悔しい…。

もちろん、ボーカル友の救いの発言もありました。「ジャズマンと一緒に演奏している限りは、そんなことは気にしなくていいのよ…」と。
確かに…!確かにそうなんです。
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悔しさは、実はエネルギーになります。
それでも、私のやる気に火が付くのに何と時間が掛かったことでしょう…。
悔しさを引きずって、数か月!
「カタカナでいいのね…。それじゃ取り敢えず、一曲だけトライしてみようかしら…」と思えるまでに数か月!

そこで選んだ曲が、「If You Never Come To Me」、
原題は「Inutil Pisagem」。邦題は「無意味な風景」。
この曲は、英語の歌詞をいまいち自然にメロディーにのせられず、納得のゆくように歌うことができずにお蔵入りしていた曲でした。

果たして上手く行ったのかどうか…?

果たして葡萄牙語で歌って自分らしさを表現できるのかどうか…?
果たして何処かに妥協点を見いだせるものかどうか…?挫折するかも…?
なんだか面倒くさい感じもしてくるのです。
右往左往は、これからも続きそうだなぁ~🎵

(長文完読深謝!)

こんなにムズカシク真面目に考えなくたって、最初から完成度なんか気にせずにカタカナ葡萄牙語でサラ~ッと歌えたらどんなに楽なことか…と思ったりもします。ふ~💦
神様、時間をください…。

そして、早速私がしたことは…?
ボサノヴァ弾き語り歌手の三浦俊一氏に教わったこの本を手に入れたのでありました。
一冊はヤマハで、本問屋に残っていた一冊を取り寄せてもらい、もう一冊は三浦さんのご紹介で、著者の吉野幸子さんのご厚意で最後の一冊を譲っていただきました。三浦さんと吉野さんには心から感謝しています♥
ボサノヴァ右往左往_f0032766_14213128.jpg
ワタシ、スグニナンカ、ウタエナイデス💦 デモ、チャレンジシテミマス!






by tomtom2006T | 2017-01-13 16:19 | DIARY | Trackback | Comments(0)

ジャズ・マドンナ<十萌子>の、徒然なるままに・・・。


by tomtom2006T