Andrea Motis & Joan Chamorro Quintet feat. Scott Hamilton
2015年 06月 23日
以前からマークしていたのだけれど、やっぱり良かったです。全く自然。歌い上げようなどとはこれっぽっちも感じらず、力の抜けた天然の歌声。先入観かもしれないけれど、力の抜け方がチェット・ベーカーに似ています。(声は全然違うけれど。)幼さが残る「女の子」ではあるけれど、楽器でJazzできるメリットなのか、譜割が聴こえて、とびきりナチュラルでした。
このバンドは、どうしてもそのサウンドの印象から、「楽団」というイメージが拭い去れませんでした。レトロ。先進的なことは一つもしていないのに何か良い、懐かしい音の塊。まさにスタンダードナンバー的。「チャモロ楽団が日本にやってきた!」という感じ。(意味不明かな…?)
一つ、大きな発見がありました。
ステージ上に、譜面台が一台もなかったのです。
それなのに、仕掛けのあるエンディングなどはバッチシ決まっていました。(すべてベーシストのチャモロ氏が仕切(指揮)っていましたが…。)つまり、全員が暗譜しているということ。「暗譜」とは、なんと自由なんだろう!と感じました。
楽器奏者が譜面に噛り付いて演奏している様子を見ることは多々あります。歌手が歌詞譜面をチラチラ見ながら唄っている光景を見るときもあります。そんな時は、なぜか白けて楽しめなくなります。
でも、この楽団は誰も、譜面に頼っていなかったのです。固定メンバーの楽団とはいえ、中々見ない光景です。ボーカルライヴの場合は、ボーカリストのキーで演奏することになるけれど、全員そのキーを暗譜しているのでした…。
楽団のピアニストは盲目のピアニストーIgnasi Terraza。彼がアドリブを取るときは、アンドレアがそっと彼に近づき肩に手を掛けてサインを出していました。阿吽の呼吸を感じる楽団でした。バンマスのチャモロ氏のカラーが強いのだろうとは感じましたが、「家族的」「Local」「懐かしさ」「レトロ」「真っ当さ」を感じるライヴでした。ベースは何ともスカッとする演奏でした。気持ちよかった!
フィーチャーされたスコット・ハミルトンは、初めて知りました。実はサックスは苦手だけれど、彼の静寂でふくよかなサウンドは初めて耳にするような音でした。心地よい音、良かったなぁ~。びっくり。
そうそう、それと、チャモロ氏がベースを弾きながら「I Fall In Love Too Easily」を唄ったのには驚きました。しかも、チェットベーカー酷似。やるなぁ~と思った次第です。
楽器奏者も歌い手も、その音や声からその人の全身全霊を垣間見れたとき、観ている方はすごく満足できます。しみじみと楽しかったと感じれます。(もちろん、好みにピッタシだったときのことですが…。)
酸欠になりそうな空間でのライヴで窮屈だったし、大きなカメラが私の肩に倒れてきて打撲してしまい災難だったけれど、発見がいっぱい有ったライヴでした。
譜面を見ない、歌詞を見ない、コレ一番です。その風情は物凄く自由です。観ている(聴いている)方も自由になれるように感じたのでありました~♪