「時代の音」 レクチャーコンサート・シリーズ2010

ちょっと気になっていたけれど、踏ん切りが付かずにチケットを買っていなかったのですが、友人に誘われたので弾みがついて聴きに行きました。

とても良かったです。
「時代の音」レクチャーコンサート・シリーズ2010

場所は、東北学院大学土樋キャンパス・礼拝堂。
講演内容は「イギリスのオルフェウスたち~ダウランドとパーセルの音楽」。
講師&歌は、メゾソプラノの波多野睦美さん。
テーマは「声・言葉・身体」。
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http://www.tohoku-gakuin.ac.jp/period/

キャッチコピーが良いですー。
<人間の歌声こそは、最も美しく、力強くまた繊細な楽器です。自然で美しい発声のメカニズムに触れながら、明晰な言葉を共演者の調べにのせて、「時代の音」の情景を鮮やかに描き出します。>

共演者の楽器は、「チェンバロ」と「ヴィオラ・ダ・ガンバ」。ヴィオラ・ダ・ガンバという楽器を初めて見ました。ヴィオラとチェロの中間…?チェロのように弾くのに、「足」がありません。身体(股と足)に抱えて演奏する古楽器…。びっくり!「時代の音」と表現するくらいなので、日本でいう雅楽器に近いのでしょうか…。

沢山の曲が、英語で唄われました。英語はRが巻き舌(トリル)で発音され、昔はそのように発音されたのだろうなーと古い時代に想いを馳せました。ドイツ語に聴こえるような縦割りの響きが興味深かったです。しかも、とても美しいブリティッシュ・アクセント!とても優雅でした…。
かなり至近距離で聴いていたので、普通にマイクを使って唄ったならばきっと耳障りなほどの、語尾の強さを存分に感じることができました。

波多野さんのスピーチが、とてもためになりました。
レコーダーを持って行かなかったので、後になって、焦ってメモしました。

★「語るように唄いたい。けれども、どこからが歌で、どこからが語りか?そういうことをいつも考えている。」そのことを、歌いながら、フレーズのスピードを変えつつ語りながら、声で示しつつお話してくれました。この日歌われた曲の中には、メロディーなしの、セリフだけのものもありました。こうなると歌手は、俳優と一緒です。まさに「一人芝居」。言葉で表現する、まさに女優という感じでした。

★ビブラートの話もありました。
「ビブラートは必要不可欠である。なぜならば、”装飾”であるから。いきなり不自然なビブラートはいけないけれども、後から掛けたり、途中で止めたり、コントロールすることが大事である。」
私も最近、ビブラートをコントロールすることを考えていたので、「なるほど・ザ・ワールド!」でした。コントロールするには、自分の声を熟知していないといけません。「ビブラートを掛けない」というコントロールもあるので、身体の使い方も理解していないといけません。クラシックのビブラートはよく分りませんが、物凄く色々なレベルのビブラートがありそう…。でも、大きなヒントをもらいました。

★それから、「誰に向って歌うか…?」という問い掛けもありました。花々に向って歌う曲もあれば、大自然に向って歌う曲もある…。しかし、……「自分に向って歌ってはいけない。」
ちょっと聞き取れなかった部分もあるのですが、
彼女は「聴き手の邪魔にならないように歌う」ことを心掛けていたけれども、ある姉妹歌手の歌唱とコメントに感動した話を聞かせてくれました。そのコメントとは、「(解釈あるいは感じ方を)聴き手に任せるように唄う。なので出来るだけ無表情で唄うことを心掛けている。」という内容でした。これは凄いと思いました。この言葉で、私は直ぐに、無表情で唄う人気歌手を何人か思い浮かべていました。

★そして、私はこの日も、ブレスの様子を固唾を呑んで観ていました。
とても分りやすかった…。研究しナイト♪ 真似してみよう…。

★さらに、スピーチするときの声の出し方にもヒントがありました。
マイクを持って話しているのに言葉がクリアに聞こえない場合、どんなことが起きているかが、ナーントナク分りました。波多野さんが、マイクを使って話すとき、マイクを離して唄うとき&語るとき、地声で唄ったとき、ファルセットのとき、マイクにたまたま入った歌声とか…、声とか音響とは不思議世界が渦巻いています。マイクを使わずに唄うならば、唄う場所や聴く位置が吟味されるべきだし、マイクを使って唄うならば、使い方やPAの技が重要になるのだろうし…。

★さらにさらに、口の開け方! 唇の使い方も、英語の歌曲だったので、物凄く参考になりました。ブレスするときの口の形とか…、とくに語尾を強く発音するときの口の形と響かせ方、語尾から続くブレスの変幻自在なスピードと強さ。(ふ~、凄すぎ…。課題山積み…。)

★波多野さんは、「筒になりたい」と思っているそうです。(たとえば節々のある竹筒のような…。)楽器としての筒、…これも納得のゆくお話でした。

大学生のとき、私は音声学が一番面白かったです。もっと勉強しておけばよかった…。それよりも、音楽大学に行っていれば良かったと思う今日この頃…。わからないこと有り過ぎ!(トットちゃんのような私の「はてな?」に応えてくれる声楽家の友人がいて、本当に感謝…。)

でも、こうやって、ためになるコンサートを聴けたのだから嬉しかったです。

この日、「When I am laid」という歌が唄われたとき、なぜか泣きそうになりました。ぐっと堪えました。声の威力って、凄いなー。

⇒ http://www.linkclub.or.jp/~dowland/hatano/hatano.html

エアコン設備のない礼拝堂で、汗をふきふき、うちわでパタパタ扇ぎながらも、脳細胞と心がかーなり活性化したひと時でした。
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Commented by barbara at 2010-09-09 17:02 x
学習できてよかったですね。
器楽とコーラスばかりでしたが、古楽ばかり聞いていた時期がありました。このところずっと聞いていません。クリスマス時期に少しだけ聞くことがありますけど。

ダウランドはスティングが歌っているのをご存知ですか。友人がくれました。曲はよかったですが、彼の声は苦手です。
Commented by tomtom2006T at 2010-09-14 12:48
スティングが歌っているのは知りませんでした。
彼はそういえば、English Manですねー♪

数日後、鈴木勲(OMA)翁のライブを聴きに行ったのですが、なんと彼は、ヴィオラ・ダ・ガンバにエレキベースの弦を張って演奏していました。足もついていました。びっくりしました。
ヴィオラダガンバには、色々なサイズがあって、チェロくらい大きいと、股だけでは抱えられないようです…。
by tomtom2006T | 2010-09-05 22:58 | DIARY | Trackback | Comments(2)

ジャズ・マドンナ<十萌子>の、徒然なるままに・・・。


by tomtom2006T
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